記:2008年2月29日 0:30a.m.(加筆: 3/1 2:44a.m.)

■行政事件訴訟法を根拠として提訴を真剣に検討する

■行政事件訴訟法

▼第１章　総　則

• 第３条:抗告訴訟
  • この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう
  • ７項: この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

▼第２章　抗告訴訟

• 第一節: 取り消し訴訟
  • 第25条: 執行停止
    1. 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
    2. 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止（以下「執行停止」という。）をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。《改正》平16法084
    3. 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。《追加》平16法084
    4. 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
    5. 第２項の決定は、疎明に基づいてする。
    6. 第２項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
    7. 第２項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
    8. 第２項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。
  • 第２節: その他の抗告訴訟
    • 第37条の５: 仮の義務付け及び仮の差止め
      1. 義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること（以下この条において「仮の義務付け」という。）ができる。
      2. 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること（以下この条において「仮の差止め」という。）ができる。《追加》平16法084
      3. 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。《追加》平16法084
      4. 第25条第５項から第８項まで、第26条から第28条まで及び第33条第１項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。《追加》平16法084
      5. 前項において準用する第25条第７項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第26条第１項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。

■行政行為と行政不服審査法についての解説とメモ

記:2008年3月1日 2:45a.m.

▼瑕疵ある行政行為

1. 取り消しうべき行政行為
   違法ではあるが、権限ある行政庁または裁判所により取り消されない限り、有効なものとして扱われる行為。取り消し原因があっても、取り消されるまでは行政行為の相手方はこれに拘束され、従わなければならない(公定力がある。取り消されるとその行政行為の効力は行為時に遡って消滅する。
2. 無効な行政行為
   私人が不服申し立て訴訟を提起するまでもなく、その責任においてこれを無視することができる行為(公定力がない)。その違法の程度があまりにもひどく、それが違法であることが明らかであるような場合にも公定力が認められるというのでは、行政の便宜に偏し、著しく正義に反するといわざるをえないため、このような場合には、無効として扱うのが公正ということ。

▽無効原因の具体例

1. 主体に関する瑕疵: 行政行為をした行政庁が当該行政行為について無権限。
   ・任期満了後の公務員の行為
2. 内容に関する瑕疵: 行政行為の内容が法律上、または事実上不能な場合
   ・死者に対する運転免許の交付
3. 形式に関する瑕疵: 行政行為につき所定の形式を欠く
   ・法律上理由付記が定められているときに、理由が付記されてないもの
4. 手続きに関する瑕疵: 処分を行うにあたって履践すべき手続きが定めてある場合に、所定の手続きによらずになされたもの
   ・法令上、事前に利害関係者に対して聴聞・弁明の機会の付与をなすべきことが定められている場合、これを踏まずにした行政行為

▽無効と取消の区分の基準

▽取消と撤回の区別

▼行政裁量

1. 羅束行為: 行政庁は一定の条件で一定の行為をしなければならないと定められていること
2. 裁量行為: 法律が行政庁に対し、不確定概念を用いて用件の存否につき、判断の余地を与え(要件裁量)、または行為をするかしないか、するとしてどのような行為をするか判断の余地(効果裁量)をあたえている場合、行政庁に裁量権か与えられているという。
3. 羅束裁量: 行政庁が裁量(判断)を誤ったときにこれを違法と確定でき、裁判所の審査に服するものを言う。
4. 自由裁量: 行政庁が判断をあやまっても、単に不当であるにすぎず、違法と評価することができないもの。これは裁判所の審査の対象とはならないとされている。ただし行政不服審査の対象にはなる。

▽羅束裁量と自由裁量の区別の基準

▽自由裁量の限界

▼行政立法

▽行政立法の必要性

▽行政立法の法形式による分類

• 政令: 憲法73条にもとづき内閣が制定するもので閣議決定を経て成立、天皇により公布され(憲法7条1号)。その形式的効力は憲法・法律に劣る。
• 府省令: 各大臣が、その主管の行政事務について制定する(内閣総理大臣=布令、各省庁の大臣=省令)もので(国家行政組織法12条1項)、その形式的効力は、憲法・法律・政令に劣る。
• 外局規則: 各省の外局である委員会および各庁の長官が制定する(国家行政組織法13条)もので、国家公安委員会規則・中央労働委員会規則などがある。
• 独立機関規則: 内閣から独立した機関である会計検査院および人事院は、それぞれ規則の制定権が認められている(会計検査院法38条、国家公務員法16条1項)
• 行政規則: 各省大臣・各委員会および各庁の長官が、その所掌事務について発するもの(国家行政組織法14条)
  1. 告示: 公示を必要とする行政措置の表現形式
  2. 訓令・通達: 行政庁が所管の書記官および職員に対して発する命令まはた示達の形式。

▽行政立法の実質による分類

• 法規命令: 国民の権利義務に直接変動をおよぼすもの。
  • 執行命令: 憲法・法律その他の上級の法令の実施に必要な具体的細目や手続事項を定めるもの
  • 委任命令: 法律その他上級の法令に基づいて発せられるもの。委任の濫用は国会中心主義に反することになるので、委任は特定の範囲に限られるべきであり、一般的・包括的な白紙委任は許されない。 法規命令は、正当な権限を有する行政機関が制定し、これを官報等に掲示し、公布・施行されることにより効力を発揮する。
• 行政規則: 行政機関の定める一般的な定めで、法規の性質を有しないもの。

▼行政不服審査法

▽不服申立の種類

• 異議申立: 当該行為を行った行政庁(処分庁)に対してのもの
• 審査請求: 処分庁以外に対してのもの。原則的には上級行政庁に対して。異議申立前置主義により、最初から上級官庁に審査請求することはできない。

▽提出書類の名称

▽正当な当事者からの申立

▽不服・審査申立期間

▽執行停止の申立の扱い

• 原則: 不服申立があっても執行は停止されない
• 審査請求を受けた上級行政庁は、必要があると認めるときは、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止措置その他の措置をすることができる。特に不服申立人からの申立がある場合において、処分、処分の続行により生ずる(原状)回復刻困難な損害を避けるために、緊急の必要があると認められるときは、執行停止をしなければならない。

▽不服申立の審理手続